チェコのアイデンティティ!市民会館Obecní důmのガイドツアー
2020/06/01
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プラハ市民会館ガイドツアーの詳細をリポートします!
市民会館ってどんな存在?
プラハにある市民会館は、チェコのアイデンティティ。チェコ人の魂といっても過言ではない、とても重要な建物です。
それは、建物の完成から数年後に、ここでチェコスロバキア州の独立が宣言されたから。つまり「チェコ共和国」という国が誕生した場所なんです。
現在では、重要な式典やコンサートが行われるホール、レストランやお店などを含む多機能ビルとしてその役割を果たしています。
ガイドツアーの予約や入場料
市民会館は、歴史的に重要な建物でありながら貴重なアートがあるのも特徴です。そのため、日に4回ほどガイドツアーが開催されていてそれが大人気!
チケットは、オンラインでも予約できるし、当日チケット売り場で購入することもできます。夏は観光客が多いので、オンラインでの事前予約がおすすめです。
予約スケジュールに明記されているチェコ語とフランス語以外のターンは、すべて英語で行われます。でも日本語の解説冊子が配られるので大丈夫!冊子はツアー後に返却します。
早いスタートの日だと初回は午前11時から、1番遅い日で最後のターンは夕方17時台、おおよそ2時間おきに開催されます。回るのは、下記の10ヶ所。
<ツアールート>
①スメタナホール
②カフェ
③モラヴィアスロバキアパーラー
④ボジェナヌムコヴァーパーラー
⑤オリエンタルパーラー
⑥グレグルホール
⑦パラッキーホール
⑧市長ホール
⑨リーグルホール
⑩スラドコフスキーホール
料金は290CZK(入場料)。チェコの観光スポットは、ほとんどの場所で撮影料がかかります!写真を撮りたい人は、55CZK(撮影料)の支払いを忘れずに。
◆ガイドツアーについて⇒詳細
スメタナホールSmetana Hall
交響曲『わが祖国』で有名な作曲家スメタナにちなんで名づけられたホールです。世界最高峰のプラハ交響楽団の拠点でもあります。
主にクラシックコンサートが開催されるそうですが、年間100を超えるのだとか。3日に1回行われていることになります。すごいですよね。
収容人数は1,200名とそれほど大きくはありませんが、このホールの価値は、建てられた当時にしては斬新な建築技法だったのだとか。
まず、巨大なアーチ型天井を鋼鉄のリベットで支える技法。それから、天井にステンドグラスをつけてホール全体に明かりを採る技法です。
こういう建物に入るといつも暗~い印象がありますが、たしかに、照明を使っているかのように明るいです。
ステージ右側にあるのは、プラハ市長のためのボックス席。対面にはチェコ大統領のためのボックス席があります。
ロマン派のオルガンは4814本のパイプから成り、世界でも最大級だそうです。ここからだとわかりにくいのですが、スメタナのブロンズ製レリーフが掲げられています。
バルコニー席やボックス席の欄干にもブロンズ製の丸いレリーフが掲げられていますが、これはチェコの作曲家たちなんだそうです。
カフェCukrárna
スメタナホールの客席から廊下に出てすぐのところにあるカフェ。格式高い催し物がある時にだけ開放されます。これからツアーで回っていくサロンは、すべてそのような位置づけです。
お部屋全体では、金装飾やランプの花柄などアールヌーボー様式が使われているのですが、
直線的な椅子など、一部にバロック(またはネオ・バロック)様式が取り入れられているのが特徴なんだそうです。
スロヴァーツコ・サロンSlovácký salónek
Cukrárnaカフェのすぐ隣にある小さなサロンです。スロヴァーツコという土地の民族模様が装飾のモチーフになっていることに由来して、そう名づけられたそうです。
壁の模様やカーテンの刺繍、麻や皮の装飾にその雰囲気があるのだとか。
サロンの見どころは、このアールヌーボー様式の水槽。金のカタツムリがくっついてるのですが、なんとこれ噴水なのだそう!
現在は作動させていないため噴水の様子を見ることはできません。一体、このカタツムリ部分がどう作用して噴水になるのか・・・気になります。
オリエンタルサロンOrientální salónek
アーティスティックな要素が強いこのサロンは、女性用ラウンジとして使われていたそうです。
色遣いやランプのデザインがアジアンチックに見えますが、東洋ファッション、特にイスラムアナトリア芸術への関心が高かったことを示しているそうです。
この引き出し式の机は、チェスやカードゲームを楽しむために使われていたもの。
このお部屋のインテリアは特に、本来の姿、いい状態で残っているんだそうです。
グレーグルホールGrégrův sál
19世紀の有名な政治家グレーグルさんにちなんで名づけられたホール。
パーティーや社交の場として使われていたので、音楽家が来て演奏できるスペースやギャラリーが設けられています。
備え付けの巨大な絵画はフランチシェク・ジェニーシェクという画家のもので、誕生から死までの過程を表現しているそうです。
また、先ほどから写真に写っている四角いシャンデリアやカーテンは、フランチシェク・クシジークという人の作品。カーテンはレプリカだそうですが、シャンデリアの幾何学の雰囲気とよく似ていますよね。
パラツキーホールPalackého sál
人類の黄金時代をテーマにした、ヤン・プレイスレルという画家の作品が飾られています。
プレイスレルさんはチェコの画家です。
女性が優雅に水浴びしている風景など、楽園を想像させる絵なのだそう。
ホールの名前は、19世紀にチェコの歴史学者・政治家として活動していたフランチシェク・パラツキーさんに由来しています。
市長ホールPrimátorský sál
今まで、いろんなホールやサロンを見てきましたが、なんといっても目玉はここ、市長ホールです。
アールヌーボー絵画の代表者でもあるアルフォンス・ミュシャ(ムハ)の絵があるからです!
絵だけでなく、ステンドグラスやカーテンなどインテリアもすべてミュシャが手掛けているそうです。
『スラブの団結』と名づけられたこの天井画は、スラヴ民族の営みをイメージして円形に描かれています。その人々を守るように、中央には鷲の姿が。
この天井画に向かって、チェコの歴史上重要な人物が描かれています。
人物の下部には、ミュシャの飾り文字でそれぞれの人物を象徴する言葉が書かれています。
たとえば下写真左側は、南西ボヘミアの国境を守っていたホツコ人。「Ostražitost(番人)」と書かれています。右側は、ドゥバーのヤン・ロハーチを描いていて「Nepoddajnost(厳格さ)」と書かれています。
また、下写真の壁画には特にミュシャの思いが込められています。左から、『犠牲(過去)』『自身の力(未来)』『男らしさ(現代)』というタイトルがついています。
チェコの人々が乗り越えてきた暗い歴史と、これから訪れる明るい未来を願って描いたミュシャの愛国心が表現されているそうです。
このひとつの部屋だけでも、天井画に壁画、カーテンやソファなどインテリアに至るまで、1人でデザインしたり描いたりするとなるとかなり大変です。
でも、愛国心の強かったミュシャは当時チェコを離れていたにも関わらず、これらの作品やデザインをすべて無償で引き受けたそうです!
リーグル・ホールRiegrův sál
政治家であり新聞記者でもあったフランチシェク・ラヂスラフ・リーグルというチェコの人物にちなんで名づけられたホール。とても愛国心が強い人物だったそうです。
この部屋の見どころは、人物がたくさん描かれた壁画。『チェコの春』というタイトルのこの絵には、チェコの作家や画家、作曲家が描かれています。
左の絵には5人の作家が、右の絵には彫刻家と2人の画家、そしてなんと、スメタナとドボルザークが描かれています!
スメタナとドボルザーク、どれかわかりますか?実は、10人それぞれ異なる年代に活躍しているので、こうして並んで描かれることは通常ありえないことなんだそう。
特に、スメタナとドボルザークが並んで同じ絵に収まっているのはかなりレアなんだそうですよ。
独立の喜びと平和への願い、そして愛国心によって、チェコ人の心のシンボルとして存在してきた市民会館。チェコ音楽やアートのルーツに、ちょっとだけ触れられたような気がしました。
※詳細情報は、すべてツアー時に渡される日本語の解説冊子より引用しています
Obecní dům
住所náměstí Republiky 1090/ 5 111 21, Praha 1 – Staré Město
電話番号+420-222-002-101
営業時間10:00~20:00※ツアーやレストランは異なるため下記参照
※ショップとレストラン営業時間
http://www.obecnidum.cz/en/restaurants-and-shops/
※ガイドツアー開催時間
http://www.obecnidum.cz/en/tours/
- 旅Pocket 編集部
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