海や旅人の守護神に捧げられた教会!オーフス大聖堂

更新:2020/01/05

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コペンハーゲンの次に大きな都市オーフスは、中世の雰囲気やバイキング時代の名残とともに近代建築が共存するおもしろい街。そのオーフスのなかでも見逃せないスポット、オーフス大聖堂を見てきました!

内部に交差点がある!?トランセプト様式

オーフス大聖堂は、12世紀の終わりごろに建てられたとされていますが正確な年はわかっていません。

建設当初はロマネスク様式だったものの、建設から100~150年後に改築され、今ではゴシック様式の建物としてその姿を残しています。

そして、なんといってもこの大聖堂のおもしろいところは交差点があること。建築様式としては「トランセプト」と呼ばれます。通常、入り口を入ってキリスト像が飾られている場所や祭壇までひとつの廊下しかないところ、横に十字に横断する廊下があるのが特徴です。

横長の建物の中間あたりに垂直に建物が設置されている

中へ入るとまず「通路長っ!」と思うのですが、なんとメインの廊下は93メートルもあって、デンマークのなかで一番長いそうです。(出典:オーフス大聖堂公式サイト、以下記事内はすべてこの公式サイトから引用)

ヨーロッパでは暗く重々しい大聖堂も多いですが、改築された時に高さも増したため、天窓の明かりが地面まで届くとても明るい大聖堂です。

意味がわかるとおもしろい!フレスコ画

今は壁の一部やアーチの一部にわずかなフレスコ画を残すのみとなっていますが、1520年頃(なんと宗教改革の頃だそう!)まで大聖堂内部の壁はフレスコ画で覆われていたそうです。

聖クリストファー

なかでも、デンマークに残るものとしては最大級の220㎡のフレスコ画は必見です。聖クリストファーと聖クレメントが描かれています。このオーフス大聖堂は聖クリストファーに捧げるものとして建てられたそうですが、聖クリストファーは川や海、水辺をゆく旅人を助ける守護神(聖人)であり、聖クレメントは船乗りの守護神とされているそうです。(『フレスコ画』ページより引用)

真ん中の大きい人物が大聖堂の守護聖人聖クリストファー、右上の碇を持った小さく描かれた人物が聖クレメント。聖クリストファーの顔の右側には消えかかっている右手が見える

デンマークをはじめ、ノルウェーなども昔はバイキングが力を持っていた土地でした。航海をする人や旅人が海賊の被害に遭うことも多かったはずなので、オーフス大聖堂はそういう人々に祈りを捧げる場として存在していたのかもしれません。

魂の天秤の聖ミカエル

柱のアーチに描かれているのは大天使ミカエルのフレスコ画。写真ではわかりづらいのですが、3メートル以上もあるのだそう。中世のフレスコ画に多く見られる大天使ミカエルは、魂の道を示す力を持つ者としての象徴だそうです。ここでは、人間の善行と悪行のバランスを量る様子が描かれています。

左側には小さなおびえた魂(善行)が、右側の魂には小さな悪魔がぶらさがっています(悪行)。これは、罪人のボウルを重くして死者の魂を見つけやすくするためなのだとか。

この「魂の重さを量る」という行為は死刑判決を象徴する概念で、エジプトで最初に発見されたそうです。また、人間の心や意志、行動の重みは、正義の軽い羽と比較されるそう。(『フレスコ画』ページより引用)

魂は悪魔がぶらさがった天秤と、行いは正義の羽と、自分も比較されると考えてみるとどうですか?悪魔が意地悪してぶら下がったボウルより軽く、吹いたら飛んでしまう羽根より軽い自信、みなさんはありますか?

聖ジョージとドラゴン

聖ジョージはキリスト教の聖人の1人とされています。竜を退治したという伝説に登場する人物とされ、まさしくその様子が描かれています。

大聖堂の随所に吊るされている帆船

天井を見上げると、つるされた船があります。これはユニティ号といってロシアのピョートル大帝に届くはずだった軍艦の模型です。

広大な陸地を支配するロシアのピョートル大帝は、海をも支配するためにオランダに軍艦を注文しました。造船業が盛んだったオランダの造船所はロシアに出荷する軍艦の模型をつくりますが、ロシアへ向かう途中、模型を輸送していた船が嵐に遭遇してしまいます。

船は航行不能になってしまったものの、模型はほとんど傷を受けずに漂着し、その模型をオーフスの漁師が買い取ります。その漁師から寄付されたのがこの奉納船なんだそうです。「ゆりかごから墓場まで」、人間の航行を象徴しているそうです。(『ようこそオーフス大聖堂へ』ページ『奉納船』欄より引用)

パイプオルガンの響きはBOSE®︎で!

オーフス大聖堂は、建物が十字型であることに配慮して2つのパイプオルガンがあります。1730年からある初代のオルガンは2019年9月現在、修復中のために見ることができません!改修は2020年4月12日までの予定です(公式サイトより)

改修中の案内と本来の姿の写真がある

ちょうど入り口の上のあたりにあり、現在はこのように足場が組まれています。演奏されている本来の姿は公式サイトで見られるようになっていますので、音に興味のある方はぜひ聞いてみてくださいね。⇒パイプオルガン演奏シーンはこちら(奏者KRISTIAN KROGSØEさんのページより)

古いパイプオルガン

こちらが1960年代に新しく設置されたオルガン。訪れた時は「やけに新しいな!」と思いびっくりしたのですが、あとで調べてみて納得。実際に中を歩くと、十字型だと一方の通路に音が通りにくく、音響効果も十分でないのもよくわかります。

新しいパイプオルガン

そして、壁に目をやるとなんとヘッドホンで知られるBOSE®︎のスピーカーがひっそりと設置されています(笑)。BOSE®︎なら、複雑なパイプオルガンの響きもきれいに届けてくれるに違いありません。

オーフスは中世の名残が強く、デンマークのなかでも古い街という認識がありましたが、こんな最新技術が紛れ込んでいるところも魅力なのかも。

キリスト教の影響が少ない日本人にとって、教会や大聖堂の見どころはなんだろう?と感じることも多いですよね。でも事前に知ってから細部に目をやると、意味がわかっておもしろいです!ぜひ世界の教会を楽しく鑑賞する参考にしてくださいね。

AARHUS DOMKIRKE(THE CATHEDRAL OF AARHUS)

住所Skt. Clemens Kirke Store Torv 8000 Aarhus C

電話番号8620-5400(大聖堂事務所)

営業時間夏季と冬季で異なります※下記参照

URLhttps://aarhusdomkirke.dk/english/

夏季5/1~9/30の平日・土9:30~16:00火10:30~16:00
冬季10/1~4/30平日・土10:00~15:00火10:30~15:00

旅Pocket 編集部
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