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【城下町】町並みが「今も残る」場所はどこ??特徴や歴史まで一緒に知れる!

更新:2021/08/26

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この記事では、日本各地に残る城下町の歴史や特徴、楽しみ方などを紹介します。風情あふれる美しい町並みや、歴史を物語る史跡など見どころの多い城下町は人気の観光地ですが、そもそも城下町とはどのような町で、どのように造られたのでしょうか。その秘密に迫ります。

当時の面影を残す城下町一覧

●松本市/長野県
江戸情緒と大正ロマンが融合する城下町

●松江市/島根県
遊覧船で巡りたい、明治の文豪も愛した水の都

●津和野市/島根県
ノスタルジックな魅力あふれる山陰の小京都

●萩市/山口県
400年前の城下町の姿を残す、幕末志士ゆかりの町

●角館市/秋田県
桜の時期に訪れたい、みちのくの小京都

●小田原市/神奈川県
戦国時代の名残と宿場町の風情を今に伝える県下屈指の城下町

●松阪市/三重県
豪商たちの栄華をしのばせる城下町

●郡上市/岐阜県
清流のせせらぎに癒やされる、天空の城のお膝元

●犬山市/愛知県
2つの国宝と木曽川の鵜飼が楽しめる城下町

●京都市/京都府
天下人の栄華と数奇な運命を見つめた都随一の町

●姫路市/兵庫県
世界遺産の姫路城を仰ぎ見る城下町

●金沢市/石川県
加賀百万石の優美な歴史遺産が満載

●会津若松市/福島県
洗練された美とドラマチックな歴史を感じる城下町

●伊賀市/三重県
レトロな風情あふれる伊賀忍者のふる里

●日南市/宮崎県
飫肥杉建築が魅力の九州の小京都

城下町(松本市)

【厳選】町並みが美しい城下町10選

松本市/長野県

国宝・松本城を中心とした城下町は、かつての武家屋敷が並んだ城周辺から町人町として栄えた東地区などに、往時の暮らしをしのばせる史跡が数多く残っています。

町には大正ロマンを感じる洋風建築なども点在し、江戸、大正、現代が融合した独特の雰囲気も魅力です。大名通りから続く本町通りには、なまこ壁の土蔵が建ち並ぶ趣ある中町通り、女鳥羽川沿いの縄手通りなどが食い違いながら交差し、城下町の名残りを感じさせます。

松本市城下町

松江市/島根県

宍道湖のほど近くに位置する国宝・松江城の城下町は、堀と川のせせらぎが聞こえる水の都。城を囲む堀には、城と周辺の観光スポットを巡る遊覧船が行き交い、四季折々の風情を水上から楽しめます。

城の北側には、江戸の情緒を今に残す武家屋敷が建ち並ぶ塩見縄手をはじめ、明治の文豪、小泉八雲の旧居や記念館、松江歴史館などが点在しています。

また大名茶人として知られた、旧松江藩7代藩主・松平治郷(まつだいらはるさと)ゆかりの茶室「明々庵」や「菅田菴(かんでんあん)」では、菓子処・松江の和菓子とお茶も堪能できます。

松江城
松江城からの眺め

URLhttps://www.kankou-shimane.com/pickup/26943.html(公益社団法人 島根県観光連盟)

津和野町/島根県

山陰の小京都と呼ばれる、旧津和野藩の城下町はノスタルジックな魅力にあふれています。

城下町のメインストリートはかつて藩邸があった殿町(とのまち)通り。加えて武家屋敷町には多胡(たご)家をはじめとする家老の威厳ある門が現存し、水路を泳ぐ鯉やなまこ塀とともに町のシンボル的な存在になっています。

さらに、明治の文豪・森鴎外らを輩出した藩の教育施設「養老館」のほか、昭和6年(1931年)に建造された西洋ゴシック建築のカトリック教会なども見どころです。

津和野町
津和野町
津和野町

萩市/山口県

400年前の城下町の姿を今に残す萩城の城下町。重要伝統的建造物群保存地区に選定されている、城の旧三の丸にあたる堀内には、かつての藩の役所や毛利家の屋敷が並んでいます。中でも最大規模を誇るのが旧厚狭毛利家萩屋敷長屋(きゅうあさもうりけはぎやしきながや)です。

城の外側に広がる碁盤の目の町筋には、中・下級の武家屋敷が並び、夏になると名物の夏みかんが土塀沿いに実る様子が見られます。
明治維新の立役者となった高杉晋作、伊藤博文ら志士たちゆかりの史跡も数多く残っています。

萩市
萩市

角館町/秋田県

仙北市の旧秋田藩角館城は、江戸初期に城主となった蘆名(あしな)氏によって城下町が築かれました。町の中心に「火除け」を設置し、「内町」に武家を、「外町(とまち)」を町人の居住区と定めるなど、独特の町割りを行いました。

観光名所である「石黒家」「角館歴史村・青柳家」「岩橋家」などの武家屋敷が並ぶ町並みは、春になると黒塀に枝垂桜が映え、「みちのくの小京都」の名にふさわしい華やかな風情に様変わりします。

角館武家屋敷
角館武家屋敷

郡上市/岐阜県

戦国時代に、戦国武将・遠藤盛数(えんどうもりかず)の子、慶隆(よしたか)により築かれた山城・郡上八幡城。歴史作家・司馬遼太郎が「日本で最も美しい山城」と絶賛したその姿は、近年では雲海に浮かぶ天空の城としても人気が高まっています。

かつて大火に見舞われた城下町には、防火対策として縦横に水路が流れ、隣からの延焼を防ぐ防火壁の「袖壁(そでかべ)」が各戸に設えられているのも特徴です。

8万個の玉石を敷き詰めた「やなか水のこみち」や、鯉や鮎など川魚が泳ぐ水路を脇に見る「いがわこみち」など、清流のせせらぎと趣のある通りも名所の1つです。

郡上市
郡上市
郡上市

URLhttp://www.gujohachiman.com/kanko/castle.html(郡上八幡観光協会)

金沢市/石川県

加賀百万石の城下町は見どころが満載。旧加賀藩の居城・金沢城の跡地に作られた公園周辺には、かつての大名庭園・兼六園をはじめ、藩主・前田利家とその妻まつを祀る尾山神社、前田家の奥方の御殿「成巽閣(せいそんかく)」など、藩主ゆかりの優美な建造物が点在します。

さらに、国内有数の現代アートの殿堂「金沢21世紀美術館」も隣接し、歴史遺産と現代アートを同時に楽しめるのもこのエリアの魅力です。

かつての賑わいを今に残すひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町の3茶屋街、格式ある佇まいの屋敷が並ぶ長町武家屋敷跡(ながまちぶけやしきあと)なども訪れたいスポットです。

ひがし茶屋街写真提供:金沢市
ひがし茶屋街写真提供:金沢市
金沢城公園写真提供:金沢市

URLhttps://www.hot-ishikawa.jp/feature/kaga/maeda(公益社団法人石川県観光連盟)

小田原市/神奈川県

戦国大名・北条氏の本拠地であった小田原は、山と海に囲まれた風光明媚な城下町。戦国時代に豊臣秀吉が城を一夜で築いたと北条氏に見せかけ、圧倒的な武力で降伏をうながしたと伝わる城跡「石垣山一夜城歴史公園」や、北条氏が合戦に備えて築いた要塞「総構(そうがまえ)」、北条氏政(うじまさ)・氏照(うじてる)の墓所など、貴重な史跡が点在しています。

また江戸時代に東海道屈指の宿場町として栄えた面影が今も残るほか、明治の侯爵・黒田長成の別邸「清閑亭(せいかんてい)」や、政治家・山縣有朋の別荘「古稀庵(こきあん)」なども名所です。

天守閣と桜

犬山市/愛知県

小高い山の頂から木曽川を眼下に望む国宝・犬山城の城下町は、土塁や堀で囲む「総構え」で形作られました。現在は、その名残が町並みに感じられるとともに、歴史的な建造物が数多く残っています。

その1つ、日本庭園が美しい「有楽苑(うらくえん)」の敷地内には、国宝の茶室「如庵(じょあん)」などが点在。中でも旧正伝院(きゅうしょうでんいん)書院では、犬山焼の器で点てるお茶と和菓子を提供しています。

また、1,300年の伝統を誇る木曽川の鵜飼いも見どころ。夜はライトアップされた犬山城のもと、かがり火に照らされた幻想的な鵜飼いの様子を見学できます。

犬山市

URLhttps://inuyama.gr.jp/castle-town.html(犬山市観光協会 )

日南市/宮崎県

豊臣秀吉の九州征伐で功績を上げた戦国武将・伊東祐兵(いとうすけたけ/すけたか)が初代藩主となった飫肥(おび)藩は、「九州の小京都」と呼ばれ、5万1千石の城下町として栄えました。

飫肥杉を使用して復元された大手門を抜けると、武家屋敷が並ぶ通りが続き、藩主の御殿「松尾の丸」や邸宅「豫章館(よしょうかん)」、藩の教育施設「藩校振徳堂(しんとくどう)」など藩ゆかりの史跡が点在します。

江戸時代の風情を残す商人通りには、樹齢200年を超す飫肥杉で建てられた商家資料館があり、豪壮な造りと漆喰壁の土蔵から往時の商家の繫栄がしのばれます。

楽市楽座(人力車1)
大手門(前)

URLhttps://www.kankou-nichinan.jp/tourisms/375/(日南市観光協会)

城下町とは??特徴は??

城下町とは、領主の居城を中心に形成され、防衛、行政、商業の機能を持った都市形態です。
戦国時代には敵の侵攻を防ぐ要塞としての機能が重要でしたが、徳川家康による全国統治が始まった江戸時代以降は、政治や経済の中心地としての機能が重視されるようになりました。

城下町では武家、町人、寺社など身分や職業によって居住区域や生活様式が異なることから、独自の文化が発展しました。現在でも「鍛冶屋町」「呉服町」「大名通り」など、町や通りの名称や住所に、その名残を見つけることができます。

松本城

どんな歴史を辿ってきてるの?

南北朝時代、領主の城は山頂などに築かれる山城が多く、一族や領民は城周辺に住み、平時は農業で生計を立てていました。

やがて、織田信長が近世城下町の礎を築き、城下に武士を集めて兵農分離を進め、商業発展のために楽市楽座を施行。後を継いだ豊臣秀吉は城下町をさらに拡大し、富と権力を集中させました。

江戸時代に入ると、貨幣が統一され、交易も活発化。経済活動の重要性が増すにつれ、交易に不利な位置にある城は放棄されることもありました。

廃藩置県が行われた明治時代以降、かつての城下町は県庁所在地などに移行し、地方都市として存続しています。

旅Pocket 編集部
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